看護婦さん

かれこれ30年近く前、父が重篤な状態で入院していた
会わせる人は呼んで下さいと言われ、親戚が遠方から駆けつけていた

左右には葡萄のように点滴が・・・
オムツには下血が
まともに機能してるのは心臓だけと

あまりに状態も悪く手術しようにも外科が受け取ってくれなかった時
内科の担当の主治医が自分と同期の外科医に
「医者としてでなく、人として頼む!」と頭を下げてくれ
その外科医から、当時関西では著名だった外科の教授が執刀へと話が運び
術後の経過もよく退院することができた


退院の日、看護婦さん達から、大きな花束が贈られた
エレベーターホールで大勢の看護婦さんが拍手してくれて
晴れがましく退院できた


帰宅後、ささやかな食卓だったけど
父と母と私との晩餐
父にとって久しぶりの家でのご飯
母と私にお礼を言って肩を震わせて父は泣いた
みんなで泣きながら、ご飯が家で食べられる幸せをかみしめた
そんな日があった


当時の看護婦さんは、熱が上がったといったら氷枕持って駆けつけて
実際当ててみて氷の量が足りなければ、ステーションまでまた走り・・・

難しいことは解らないけど、医学も当時よりずっと進歩しているのだろうし
看護のありかたも、より進化しているに違いない
そんな一方で、あの当時いつも病院の廊下を走っていた看護婦さんが懐かしい
今時は病院の廊下は静かにするもので走ってはいけないことになっているけど。。。