煌めき

夕べ母がベッドに横たわりつつ、PCに向かっている私を見ながら
小声で独り言のように言った
「ゴメンね○○ちゃん」「よくしてくれてありがとう」と・・・
はっと母の顔を見ると認知症から解放された顔をしていた
この顔だ!!!認知症になる前の顔をしていた

その言葉は本心からだった
奇跡的なひと時であった

「そんな事ないよ!、私こそいつも怒ってばっかりでゴメン」
と言うと
「ううん、私が悪いの、あんたには苦労ばっかりかけて・・・」と声をあげて泣いた
私も声をあげて泣いた


このまま認知発症の前の母に戻ってくれたら
どんなに幸せかと思った


正気はそこまでで
朝にはすっかり認知症の顔つきで、また私に悪態をつく。。。
まるっきり、昨夜のあの出来事は夢だったのかと
儘ならなさを突き付けられた


どうも、何時か私から見放される、自分から離れていくに違いないと見捨てられると
そう思う不安が母を悪化させているのかもしれない・・・
私が携帯でメールしていたりPCに向かっていたり友達と電話していると
落ち着かないのだ
自分に振り向いてもらおうと、ますます変なコトを言ったり
カバンを持って家を出て行ったりする


自分をどこかに預ける算段をしているのだと勘違いしての行動のようだ
(実際、そういう時もない訳じゃないけど・・・)
ただ自分の趣味でパソコンしてるだけなのに、友達と話す自由も私から奪うのか
と追い詰められる私だが、そんなからくりがあったのかも知れない・・・


被害妄想、鬱も認知の症状だから考えられなくもない・・・
ただ、結果的にはどうしようもない


母をショートに預けて、正直ほっとしながらも
昨夜の母が正気に戻った一瞬の煌めきを何度も想いだしている

もう眠っただろうか
ここのところ症状が進んでいて、いよいよ追い詰められることがあるかと思えば
昨夜のような奇跡も訪れる

最近もっぱらの傾向は「お家に帰ろう、連れて帰ってよ」だ
それも半分どこかで、ここが家だと解りながら言ってもいるような・・・
解りながら解らなくなって、ほんとに解らない時と
はっと正気になって解るときと
そんなこんなが混在しているようだ