流れる雲

さっき窓の外を見ていると、かすかにゴーっという音がしている
庭先の風の音ではなく
窓を開けて空を見上げた
はるか上空から微かに届いてくる音だった
大きい薄い色の雲が、凄い速さで流れていく
次々と流れていっている
そこからの音を初めて聞いた気がする
台風の動く音とでもいうべき?
きっと大きい音なのだろ、地上まで届いてくる

何か胸に迫るものを禁じ得なかった
不思議な感情が満ちてきて涙が流れた
終戦記念日の今日、どうしても帰って来たかった
とでも言いたげな音に聞こえた

本日、武道館で戦没者慰霊の式典で
他の誰より遺族代表の方の言葉が心を打つ
そして昨夜「ひろしま」という映画の存在を扱った放送で
国連でもスピーチをなさる、サーロー節子さんの存在の大きさを
改めて感じた

そんな後だったから、台風の雲にも
戦争の犠牲になった存在を感じてしまったのだろうか
過去のあまりにも悲惨な過ちこそが
戦争の抑止力となるはずなのに
だからこそ、そこに核は必要ないはずなのに
と、遥か遥か上空を流れゆく雲が教えてくれているようだった