こ・ら

1ヶ月以上も前のこと
夜遅くにコンビニに行こうと玄関のドアを開けた瞬間
なにかの気配、、、
ノラ猫が表に居たのだ、私の自動車の傍に2匹と
もう1匹が私の右手前方からサっと現れた


その1匹は
何も見なかったことにして自動車に乗ろうとする私に
じっと視線を投げかけていた
ならば、何がしか意志を表明しなくてはなと
控えめに小声でゆっくり「こ・ら」と言ってみた


1匹ならまだしも3匹もは無理だし、更に呼びよせてしまうやもしれない
ゴメンね悪いんだけどって気持ちながらの「こら」だった
そのリーダー各的な1匹と私のやりとりを残りの2匹はやや遠巻きにうかがっていた


私の「こら」が言い終わるやいなや
サっと踵を返して去っていった
その一瞬の潔さが印象的だったのと、何よりも
言葉を発するまでしばしみつめあったその瞳が実に聡明だったのだ
私の出方を若干の期待を込めて待っていた
彼は或いは彼女は、すべての言葉を理解することはないまでも
行く先々で言われる「こら」の意味をしっかりワキマエて知っているのだ
ちゃんと理解しているのだ


静かなやりとりの後、ちょっとせつなかった
あれから二度と現れない
TVでやってる♪チュールチュールチャオチュール♪
みたいな美味しいおやつタイムがある家猫にはない
鋭くてとても聡明で少しばかりせつないまなざしの猫だった